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関西フォーラムの15年

関西フォーラムの15年

 

1 関西フォーラムの発足

関西フォーラムは2008年3月15日にレイチェル・カーソン日本協会の組織再編のなかで発足しました。「レイチェル・カーソン日本協会のあゆみ」は、当時の事情を次のようにのべています。

「2007年はレイチェル・カーソンの生誕100年を記念する年であった。日本協会は、2006年5月27日から「記念キャンペーン」を開始し、各方面への協賛・協力の依頼、企画準備などに力をいれてとりくんだ。また、「読書感想文」コンクールの経験をふまえ、今回は「レイチェルへのお手紙」募集企画にとりくんだ。
 記念行事は、3月の東京行事にはじまり、5月の京都、6月の大阪、8月の高知へと連鎖的に企画実施された。行事内容は、講演会、展示企画、交流行事など、それぞれの地域ごとに創意を生かしたものであった。
「レイチェルへのお手紙」募集企画には、学校単位でのとりくみもふくめて大きな反応があった。5月27日の「記念のつどい」で入選作品が紹介された。
 また、7月から9月にかけては北海道大学で講演会と展示企画がとりくまれたのに、日本協会としても協力した。
「生誕100年」を記念する出版企画としては、ミネルヴァ書房から『レイチェル・カーソン』が出版された。2008年2月には、『レイチェル・カーソン』出版記念行事が東京で開催された。」(中略)「日本協会の組織運営をめぐって、発足から20年が経過するなかで、組織のリフレッシュをはかる必要性が指摘されることが増えてきた。総会、理事会で、日本協会のこんごの在り方をめぐって意見交換を深めるなかで、最終的に、特定非営利法人格の返上、各地域に根ざした組織づくりと、そのネットワーク化をすすめるという立場から組織改革を行うことになった。
 2008年3月15日、特定非営利活動法人格を返上するための「解散総会」をもつとともに、当面、関東フォーラム、関西フォーラムを拠点にしたゆるやかなネットワーク組織としてレイチェル・カーソン日本協会が再発足することになった。」

関西フォーラムの「申し合わせ」の第6条(事業)には以下のとおり、関西フォーラムの活動の枠組みが示されています。

  講演会、セミナーなどの開催

  自然観察体験会の実施

  会員の交流企画の実施

  ニュースの発行

  ホームページでの情報発信

  その他、会の目的にふさわしい事業

 関西フォーラムの15年についても、この枠組みで振り返ることにします。

2 講演会、セミナーなどの開催

 まず、①講演会、セミナーなどの開催です。

この15年、さまざまな講演会、セミナーを企画実施してきましたが、レイチェル・カーソンの生涯や業績を伝えるという点では、彼女の「生誕○○年」「没後○○年」とか、主著の「出版○○年」といった「メモリアル・イヤー」にまとまった「記念事業」を行うことに力を注いできました。主要なものをひろい出してみます。

 2011年―2012年 『沈黙の春』出版50年記念事業

  2011年 『沈黙の春』出版50年記念連続セミナー(7月9日、11月19日)

        『沈黙の春』出版50年記念フォーラム(9月19日)

  2012年 『沈黙の春』出版50年記念連続セミナー(7月14日、7月28日)

        『沈黙の春』出版50年記念フォーラム(9月17日)

 2013年―2014年 没後50年記念事業

  2013年 「没後50年」記念連続講座(9月16日、11月24日)

  2014年 「没後50年」記念連続講座(1月13日、3月16日)

        レイチェル・カーソン没後50年記念のつどい(4月13日)

 2017年 生誕110年記念事業

レイチェル・カーソン生誕110年記念のつどい(5月14日)

 2018年 レイチェル・カーソン日本協会設立30年記念行事(5月27日、名古屋)

 これ以外に、2010年には生物多様性条約第10回締約国会議が名古屋で開催されるのに合わせたキャンペーンに参加しました。京エコロジーセンター助成事業として4回のセミナーとCOP10記念フォーラムを開催し、名古屋で開催された「地球いきものEXPO」にも出展しました(10月9日、10日)。

 このほか、レイチェル・カーソン関西セミナーや読書会などを継続的に開催してきました。

 

●関西フォーラムが企画実施してきた関西セミナーの開催記録を関連資料として掲載します。

(2014年)

第1回 11月22日(土)

最後の講演「環境の汚染」に学ぶ     原  強

フクシマの放射納汚染水は、いま     宗川吉汪 

(2015年)

第2回 3月14日(土)

アスベスト問題は、いま         杉本通百則

第3回 5月24日(日)

「パリ合意」への道           伊与田昌慶

映画「シェーナウへの想い」

第4回 7月20日(月・祝日)

「海の日」によせて

レイチェル・カーソンの海の作品について 原  強

京都の海の生き物たち          井谷匡志

かけがえのない海洋資源を守るために   榎 彰徳

第5回 10月17日(土)

「センス・オブ・ワンダー」の50年   原  強

「センス・オブ・ワンダー」の魅力    小川真理子

第6回 11月8日(日)

動物園に行くっ。

(2016年)

第7回 2月28日(日)

地球温暖化と火力発電          山本 元

第8回 5月15日(日)

原発事故と人間の健康への影響      宗川吉汪

第9回 7月18日(月・祝日)

鞍馬山にのぼる

第10回 9月25日(日)

私が大事にしてきたこと         槌田 劭

第11回 11月23日(水・祝日)

アフリカを絵本にして          伏原納知子

(2017年)

第12回 2月12日(日)

ビキニ水爆実験と日本の原水禁運動    小杉 功

ビキニ水爆実験とレイチェル・カーソン  原  強

第13回 7月23日(日)

琵琶湖博物館訪問

第14回 8月26日(土)

ヒアリの話

『沈黙の春』とヒアリ          原  強

外来種による生態系への影響――ヒアリの場合  須崎翔太 

第15回 9月18日(月)

法然院の森を楽しむ

第16回 11月26日(日)

『レイチェ・カーソンに学ぶ現代環境論』出版に寄せて

村上紗央里、田浦健朗、原  強

(2018年)

第17回 7月16日(月)

ネオニコチノイド系農薬      尼川大作

第18回 9月15日(土)

SDGsを考える         木原浩貴

第19回 11月11日(日)

秋の植物園を楽しむ

第20回 12月15日(土)

『沈黙の春』を読む       原  強

(2019年)

第21回 4月14日(日)

プラスチック資源循環戦略について  原  強

プラスチックごみを減らすために出来ること  浅利美鈴

第22回 7月15日(月)

カーソンの「海の作品」を読む   浅井千晶

石牟礼道子『苦界浄土』を読む   原  強

第23回 11月30日(土)

私が歩んできた道         石田紀郎

(2020年)

第24回  10月26日(月)

地球温暖化と自然災害   広瀬和代

第25回  12月12日(土) 

あらためて化学物質について考える 原  強

(2021)

第26回  4月26日(月)

<永遠の化学物質>PFASを考える 原  強

第27回  9月18日(土)

『13歳からのレイチェル・カーソン』を読む

 カーソンの時代とその生涯   上岡克己

  文学者としてのカーソンの魅力 浅井千晶

第28回 11月28日(日)

『13歳からのレイチェル・カーソン』を読む 原  強

 

4 自然観察体験会の実施

 この分野は、関西フォーラムの活動のなかではあまり多くできていない領域ですが、それでも、関西セミナーのなかで見学企画をいくつか実施してきました。

第6回 11月8日 動物園に行くっ。

第9回 7月18日 鞍馬山にのぼる

第13回 7月23日 琵琶湖博物館訪問

第15回 9月18日 法然院の森を楽しむ

第19回 11月11日 秋の植物園を楽し 

また、2022年秋には、秋の見学会企画として

9月28日 日本新薬山科植物資料館

10月15日 JT生命誌研究館

の見学企画を実施しました。いずれも好評でした。

日本新薬山科植物資料館については2023年3月22日にアンコール企画を実施しました。

 

5 会員の交流企画の実施

 関西フォーラムの会員交流会を毎年、実施してきました。

2008 会員交流会(9月13日)

2009 会員交流会(1月12日)

2010 会員交流会(1月11日)

2011 会員交流会(1月10日)

2012 会員交流会(1月9日)

2013 会員交流会(1月13日)  

2014 会員交流会(1月13日)  

2015 会員交流会(1月12日)

2016 会員交流会(2月28日)

2017 会員交流会(1月9日)

2018 会員交流会(3月18日)

2019 会員交流会(2月17日)

2020 会員交流会(2月24日)

2021年からは、コロナの感染拡大ため、オンラインでの交流会になりました。

2021 会員のつどい(2月23日)

2022 会員のつどい(1月10日)

2023 会員のつどい(1月9日)

 

6 ニュースの発行

2021年1月から、会員間の交流をはかるために、会報「モナーク蝶」を編集・発行するようになりました。現在、隔月発行を継続しています。

 当初は4ページ編集でしたが、第12号(2022年11月)から8ページ編集になりました。8ページ編集になったことで、原稿を書いていただく会員も増え、情報量が増加しています。バックナンバーを見ることも楽しみになったという声もあります。

 関西フォーラムにとって「モナーク蝶」は活動の柱といえるものであり、ひきつづきその充実を図ることを目指していきます。

 

7 ホームページ

 関西フォーラムのホームページも大事な役割を担っています。何度かリニューアルを重ねながら、現在のホームページになってきました。

 ホームページの効果は、外部の方にレイチェル・カーソンの生涯や業績を語り継ぐ関西フォーラムが存在すること、今、何をしようとしているかが伝わることです。ひきつづきその充実を目指します。

 ただし、SNSによる情報交流が活発に行われるなかでは、どうしても情報伝達手段としては「受け身」となっています。「検索すればみつかる」ことも大事なのですが、より多くの方に情報発信していくためには工夫が必要になっています。

 

8 その他

・助成事業

関西フォーラムの活動は基本的に会員の会費・寄付など、自己資金によっていますが、2010年には、京エコロジーセンター助成事業(4回のセミナーとCOP10記念フォーラム)に、また、2011年、2012年には、京エコロジーセンター助成事業(『沈黙の春』出版50年記念キャンペーン)に取り組みました。

現時点では適当な助成金がないため、当面、自己資金での活動にならざるをえません。

・同志社大学寄付講座

2014年から5年間にわたり、同志社大学のご協力のもとに寄付講座「レイチェル・カーソンに学ぶ現代環境論」を開講し、大学生を対象にした系統的な講座企画を開催できたのも大きな成果でした。この取組みの成果物として『レイチェル・カーソンに学ぶ現代環境論』(新川達郎ほか編、2017年、法律文化社刊)が出版されました。

・『13歳からのレイチェル・カーソン』出版

 『沈黙の春』出版60年記念行事を前にどんなキャンペーンを準備するかを検討するなかで、ちょうどコロナの感染拡大の時期であったことから、イベントは避け、出版企画を具体化することになりました。かもがわ出版からのご提案もあり、関東フォーラム、東海フォーラムとも連携し、『13歳からのレイチェル・カーソン』を2021年5月に出版することになりました。

 

幸い出版物は好評を得ることができました。

レイチェル・カーソン日本協会

関西フォーラム

 

〒603−8242

京都市北区紫野上野町24番地の2 原 強 気付

TEL/FAX:075−354−6637

E-mail:jrcc-thara@ab.wakwak.com